【2025年版】海外通販で思わぬ関税!?個人輸入でも課税される理由と対策を解説
海外のネットショップで洋服などを購入した際、配達時に「関税を支払ってください」と請求された経験のある方もいるでしょう。
実は、自分で使用する目的の個人購入であっても、一定の条件を満たすと関税や消費税が課税される場合があります。
本記事では、具体的な購入事例をもとに、個人輸入における関税の仕組みや課税の条件、課税対象になりやすい商品、注意点などを解説します。
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ある消費者が海外のECサイトで2万円分の洋服を購入し、国際宅配便で日本に届けられた際、配達員から「関税1,200円をお支払いください」と案内されました。
このようなケースは珍しくなく、海外から届く荷物はすべて「輸入貨物」として日本の税関で審査され、一定の条件を満たすと関税や消費税の課税対象となることがあります。
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日本の税制では、商品の用途が「個人使用目的」であっても、輸入されると関税法に基づき税関の審査対象となります。
そのため、課税価格が一定額を超える場合、原則として関税および消費税が課されます。
ただし、商業輸入(転売目的)とは異なり、個人使用目的の輸入には簡易課税制度が適用され、一般的に低めの税率が適用されます。
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個人が自分で使用する目的で商品を輸入する場合、関税額の計算は以下のようになります:
海外での小売価格 × 60% × 関税率 = 関税額
この「60%」にあたる金額が「課税価格」となり、商品ごとに定められた簡易税率が適用されます。
また、課税価格に対しては、関税に加えて消費税および地方消費税も原則として課されます。
▶ 個人輸入で課税される例
・海外小売価格:20,000円
・課税価格:20,000円 × 60% = 12,000円
・衣類の簡易税率:10%
・関税:12,000円 × 10% = 1,200円
このように、課税価格が1万円を超えていたため、この商品は関税の課税対象となります。
▶ 個人輸入で課税されない例(免税となるケース)
・海外小売価格:8,000円
・課税価格:8,000円 × 60% = 4,800円
・衣類の簡易税率:10%(ただし、課税対象外)
この例では、課税価格が4,800円となるため、課税価格が1万円以下の場合の免税規定により、関税および消費税は課されません。
そのため、上記のような低価格帯の商品については、配達時に関税や消費税が請求されることはありません。
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原則として、課税価格が1万円以下であれば、関税および消費税は課されません(免税扱いとなります)。
しかし、以下のような品目については、簡易税率の適用対象外とされており、課税価格が1万円未満であっても関税が課されることがあります。
▶ 簡易税率が適用されない代表的な品目
- ・革製品(ハンドバッグ、旅行かばんなど)
- ・ニット製衣類
- ・履物(革靴・スニーカーなど)
これらの品目には、通常の関税率(実行関税率表に基づく)が適用されるため、金額の多少にかかわらず課税対象となる場合があります。
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税関では、輸入された貨物が「個人使用目的」か「商業輸入(転売・営業目的)」かを、申告内容や貨物の状況をもとに総合的に判断します。
商業輸入と判断された場合には、以下のような課税方式が適用されます:
(商品価格 + 国際送料 + 保険料) × 一般の関税率
この課税方式では、課税対象となる金額が大きくなるため、結果として支払う関税額も高くなる傾向があります。
▶ 商業輸入と判断されやすい主な条件
- ・同じ商品を複数個まとめて購入している
- ・配送先が法人名義や第三者名義となっている
- ・商品の用途が営業・販売目的と見なされる場合
こうした判断基準は明文化されておらず、最終的には税関によって個別に判断されます。
上記のような点に該当する場合は、商業輸入と見なされる可能性があるため注意が必要です。
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US AmazonやSHEIN、Temuといった一部の海外ECサイトでは、Handling Charge(関税・消費税・通関手数料などを含む事前支払い制度)を導入している場合があります。
この仕組みにより、商品購入時に関税等をあらかじめ支払うことができ、配達時に追加で請求されることはありません。
事前決済方式は、課税額が購入時点で確定するため、想定外の出費を避けやすいという利点があります。
一方で、この方式に対応していないサイトを利用した場合には、商品が日本の税関で審査された後、課税通知や配達時の代金引換方式などによって、別途関税・消費税を請求されることがあります。
特にEMSなどの国際郵便を利用した場合には、簡易申告方式により後日課税される可能性がありますので、あらかじめ把握しておくことが重要です。
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海外旅行中に現地で購入した商品を、日本へ帰国後に別送品(後日配送)として送ってもらう場合、空港で「別送品申告」を行うことで、一定の免税枠が適用される制度があります。
この制度を適切に利用すれば、課税価格が20万円以下の範囲で関税および消費税が免除される可能性があります。
ただし、免税の適用にはいくつかの条件があり、特に「帰国時に税関で別送品であることを申告していること」および「課税価格が20万円以下であること」が要件となります。
これらの条件を満たさない場合、別送品であっても通常の輸入貨物として扱われ、関税や消費税が課されます。
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関税や消費税の発生を完全に避けることはできませんが、次のような点に留意することで、予期せぬ税負担を抑えることが可能です。
▶ 適切な輸入対応のためのポイント
- ・商品価格が課税価格1万円を超えないよう調整する
- ・革製品・ニット製衣類・履物など、課税価格にかかわらず関税が発生する可能性のある品目には注意する
- ・同一商品を多数購入しない(商業輸入と判断される可能性があるため)
- ・Handling Charge(関税・消費税の事前決済)対応の通販サイトを選ぶ
- ・税関申告書に「個人使用目的」であることを明記する
さらに、中国などから商品を仕入れる場合には、信頼性の高い輸入代行業者の活用も効果的です。
たとえば「さくら代行」では、個人輸入者向けに少ロット対応や検品、通関手続きまでを一貫してサポートしており、輸入時のトラブルを未然に防ぐための体制が整っています。
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国際宅配便を利用して商品を輸入する場合、関税や消費税に加えて、通関手数料が別途発生するケースがあります。
たとえばDHLやFedExなどの配送業者では、関税立替や通関手続きに対する手数料として、おおよそ1,000円程度が加算されることが一般的です。
そのため、商品価格だけで判断するのではなく、関税・消費税・通関手数料を含めた「総額」での比較・検討が重要です。
輸入に関する基本的な知識をあらかじめ把握しておくことで、予期せぬトラブルや追加費用を回避することができます。
制度を正しく理解し、安心して海外通販を利用できるように備えておくことが大切です。
出典
- ・財務省関税局|少額輸入貨物に対する簡易税率
- ・財務省関税局|輸入統計品目表(実行関税率表)
- ・各ECサイト公式ヘルプ(US Amazon、SHEIN、Temu など

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